私が小さい頃、かろうじてまだ町を走っているのを見る事が出来た三輪トラック。通称「オート三輪」。私がよく見たのは、確か近所の鉄工所の車だったと思います。1930年頃から造られ始め、1950年代にかけて広く普及したオート三輪。その当時は、狭い道や未整備の悪路といった厳しい道路事情でした。そのため、四輪車に比べて悪路に強く、しかも小回りが利くオート三輪は、多方面で活躍していたようです。そして何よりも四輪車よりかなり安く手に入ったことが、オート三輪の人気を支えていました。しかし1960年代に入ると、道路交通の高速化に伴い、カーブで不安定なオート三輪は徐々に敬遠され、四輪車との価格差も少なくなった事もあって、ダイハツ工業と東洋工業(現マツダ)の二大メーカー以外ではほとんど製造されなくなりました。そして、1970年代に入ると、ダイハツ工業に続き東洋工業も生産を中止し、市場から姿を消していったのです。
右の写真は、ダイハツ工業の「ミゼット」とホープ自動車の「ホープスター」。オート三輪の中でも軽自動車の規格内で製造された、軽三輪と呼ばれるものです。