小鳥は木の枝から公園を見下ろしていました。
その下では、子供たちが追いかけっこしたりボールを蹴ったり楽しそうに遊んでいます。
小鳥には一緒に遊んでくれる友達がいませんでした。
あまり飛び回らず、自分から他の鳥に話しかけることもないからです。
「僕がもし人間だったら…」
いつの頃からか、小鳥は人間になりたいと思うようになりました。
始まりはほんの小さな気持ちでした。
でも、人間になりたいという気持ちはどんどんふくらんでいきました。
月のきれいなある夜のことです。
小鳥はいつものように木の上で眠っていました。
やがて夜が空け、遠くから聞こえてくる物音に目を覚ますと、なんだかいつもと様子が違うことに気がつきました。
草の上に横たわり、空を見上げていたのです。
あわてて木の上へ戻ろうとしました。
ところが、飛び上がることが出来ません。
「あれ、どうしたんだろう」
小鳥が不思議そうに自分の身体を見ると、もう羽はありませんでした。
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