友達と別れたきゅるは、一人歩きながら空を見上げました。
空を飛ぶ鳥はどこへ向かっているのでしょう。
きゅるは、これまで自分のことを臆病だと思っていました。
いつも不安で、自分の殻に閉じこもってばかり。
でも、それは違いました。
自分の殻に閉じこもっていたのは、友達と一緒にいる幸せや、まわりに広がる素敵な世界を本当に知らなかったから。
心の底からそうしたいと思ったことが無かったからです。
「僕は臆病じゃない」
きゅるは力強く空を見つめました。
その夜、きゅるは夢を見ました。
男の子と一緒に大空を羽ばたく夢。
男の子の背中に生えた羽は、月の光を浴びて美しく輝いていました。
「一緒にさがそう」
山を越えて、海を渡って…
やがて、目の前が明るく輝きだすと、夜空にきれいな虹のカーテンがあらわれました。
絵本の中で見た虹。
やさしい光が二人をつつみます。
男の子が、そっとささやきました。
「空を飛ぶのって、楽しいね」
振り返ると、男の子は鳥の姿に変わっていました。
5